月102時間の残業で営業停止に。

日経BP社の建設・不動産の総合サイト「ケンプラッツ」の6月13日の記事によりますと、国土交通省関東地方整備局は6月9日に鹿島道路株式会社を労働基準法違反による営業停止処分としました

鹿島道路では、2013年5月22日に広島営業所の事務職の社員が勤務中に所内で倒れ、6月1日に死亡しました。これを受け、同社が「労働者死傷病報告書」を管轄労基署に提出し、労基署が死亡した社員の勤務状況などを調べたところ、労使協定で定めた時間外労働の限度時間を超えていたことが判明しました。内容としては、1日6時間の限度時間に対して1日あたり3分から2時間25分超、1ヶ月については月100時間の上限に対して2時間1分超えていました
そこで、同労基署は2013年11月に鹿島道路と元所長を広島検察庁書類送検し、2014年1月に同社と元所長それぞれに広島裁判所から労基法違反による罰金刑が確定しました。

関東地整はこの問題が他法令違反による処分を規定した建設業法28条に該当すると判断し、鹿島道路に対して営業停止を命じました。なお、関東地整が広島県内での問題に対して監督処分を行ったのは、鹿島道路が国土交通大臣許可を受けており、同社の本社所在地が同地整の管内にあるためとしています。

今回の事件で労基法違反が判明したのは、「労働者死傷病報告書」の提出がきっかけとなっています。「労働者死傷病報告書」というのは、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内等で負傷や休業、死亡した際、労働安全衛生規則97条に基づいて提出が義務づけられているものになります。
ただ、報告書の提出により労基署が調査に入るため、労基署の調査を避けるために「これは労災じゃないから。」と、報告書を提出しない事業主もいます。いわゆる「労災隠し」です。
労災保険の認定の可否を決めるのは、会社(使用者)ではなく労基署です。
労働者は常に弱い対場にあり、また労災事故を起こした事により後ろめたさもあり、会社に逆らう事により解雇や職場環境の悪化を恐れ、会社の違法性を知りながら従ってしまう事があります。結果きちんとした治療せずに職場に復帰し悪化させてしまったり、後遺症が残ってしまう場合は、結局はその会社を去る事にもなり、一生苦しむ事になりかねません。

労災事故が起こった場合、諦めてしまう前に会社に対し労災申請を要求しましょう。
それでも会社が労災事故を認めず、申請を拒否した場合は、被災した労働者自身、もしくは家族や遺族が管轄の労働基準監督署へ申請することができます。
また、労働者が申請した事を理由とし、解雇や減給等の制裁を行う事は違法です。もし労災申請により解雇されたり不当な扱いを受けることになった場合は、専門家に相談しましょう。

当事務所には、残業代請求や未払い賃金その他の会社とのトラブルについて、精通している弁護士がおります。
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