持ち帰り残業で労災認定

2014年11月6日の朝日新聞によりますと、大手英会話学校の講師だった女性が2011年に自殺したのは、長時間の「持ち帰り残業」が要因だったとして、金沢労働基準監督署が2014年5月に労災認定をしたことがわかった、としています。
労基署の資料や代理人弁護士によりますと、労基署は、女性が入社後約2ヶ月間で主に自宅で作成した文字カード1,210枚、絵入りカード1,175枚の教材に着目し、担当者が作ってみたところ、1枚につき29秒〜9分26秒かかったとしています。これをもとに1ヶ月の持ち帰り残業時間を82時間と推定し、学校での残業を含めると111時間を超えたため、女性が長時間労働うつ病を発病したとして労災を認定したとしています。

持ち帰り残業が要因の自殺が労災認定された例は過去にもありますが、問題に取り組む弁護士らによりますと、残業の裏付けは同居の家族の証言が中心になるといいます。今回の件では、女性は一人暮らしだったため自宅の作業量の裏付けが困難でしたが、労基署は女性が作った大量の教材などから作業時間を推定する異例の措置をとり、労災が認めたれたこととなります。

厚生労働省によりますと、働き過ぎなどの要因で「心の病」を発症したとして労災申請をしたのは、昨年度は過去最多の1,409人で、そのうち436人が労災認定を受け、このうち自殺や自殺未遂の人は63人でした。
2014年11月1日には過労死防止対策推進法(過労死防止法)が施行されました。過労死防止法では、過労死を防ぐ対策を「国の責務」と明記し、政府は具体的な対策づくりに乗り出すこととしています。

今後、過労死に対する防止対策が出てくるかとは思いますが、対策がまだ出ていないいま現在、長時間労働等に苦しんでいる人はたくさんいるはずです。
長時間労働等で心が病んでしまったり、身体が悲鳴を上げる前に、専門家に相談することをお勧めします。

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