解雇予告制度と適用除外者 〜 シリーズ 「解雇」を学ぶ 4 〜

「『解雇』を学ぶ」のシリーズ第4回目の今回は、「解雇予告制度と適用除外者」についてお伝えします。

このシリーズでは「解雇」について詳しく記載していますが、実際使用者が労働者を解雇する場合、どのような方法ですることになるのでしょうか。

労働基準法第20条は、突然の解雇によって労働者の生活が困窮することを緩和するため、使用者に対して、解雇する場合には少なくとも30日前の予告、あるいはこれに代わる解雇予告手当の支払いを義務づけています。

労働基準法第20条〕
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

なお、「解雇予告手当の一日分」とは、「平均賃金の一日分」であり、原則、以下の式で計算します。

≪直前3か月に支払われた賃金総額 ÷ 3か月の総日数≫(A)

ただし、例外として、日給・時間給・出来高払制の場合には、最低保障の観点から、以下の式での計算値を下回ってはならないとされています。

≪直前3か月に支払われた賃金総額 ÷ その期間中に働いた日数 × 60%≫(B)

つまり、(A)の金額が(B)の金額よりも低いという場合は(B)が平均賃金になります。

さて、具体的な解雇予告や解雇予告手当の方法等について、見ていきましょう。

1.解雇予告の方法
 上記記載のとおり、解雇の予告は少なくても30日前にしなければなりません(解雇予告をした日は含まれません)が、解雇の予告はどのような方法でされるのでしょうか。
 解雇予告の方法は、労働者に到達することが必要なので、文書でも口頭でもかまいません。ただし、事後の争いを避けるため、実際には文書を直接労働者に交付する方法か、配達日と文書の内容が証明される内容証明郵便を用いる方法が多いです。
 また、解雇の撤回については、原則的としては使用者からはできません。もし撤回を認めると、解雇予告を受けた労働者の地位が不安定な状態になるからです。ただし、労働者の同意を得れば解雇予告の撤回は可能です。

2.解雇予告手当の支払方法
 解雇予告手当は解雇予告に代わるものなので、即時解雇の場合は解雇(解雇の意思表示が労働者に到達するとき)と同時に支払う必要があります。もし解雇予告をしても予告期間が30日に満たない場合には、不足の日数分について予告手当を支払わなければなりませんが、その場合は解雇予告時に支払う必要はなく、解雇予告日数と予告手当で支払う日数が明示されている限り、解雇の日までに支払えばよいとされています。
また、解雇予告手当は賃金ではないですが、行政通達では賃金に準じて労働基準法第24条(賃金支払の原則)の通貨払い、直接払いをするよう指導しています。

3.解雇予告制度の適用除外者
 解雇をする場合には、少なくとも30日前の予告、あるいはこれに代わる解雇予告手当の支払いが必要ですが、一定の臨時的な雇用の場合には解雇予告をさせることが困難あるいは不適当なので、解雇予告制度の適用除外者として、次の者を定めています。

 (1) 日日雇い入れられる者
(1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
 (2) 2か月以内の期間を定めて使用される者
(当初定めた2か月以内の契約期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
 (3) 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
(当初定めた契約期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
 (4) 試の試用期間中の者
(14日を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)

以上の者については、解雇予告や解雇予告手当は必要になりません。
また、上記の他に、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」や、「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合」にも解雇予告あるいは解雇予告手当の支払いは不要となっています。

全4回にわたり、解雇について詳しく記載してきましたが、いかがでしたでしょうか。

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