またしても、「持ち帰り残業」で労災認定。

2015年3月4日(水)の朝日新聞デジタルの記事によりますと、2011年に心臓の急激な機能低下が原因で亡くなった堺市の26歳の市立中学校の教諭について、地方公務員災害補償基金が公務災害(労災)による死亡と認定したことがわかりました。

資料によりますと、同僚教員の証言などを元に推計した当該教諭の死亡直前の3か月の校内での残業時間は月61〜71時間で、国の過労死認定基準(2か月以上にわたり月平均80時間以上)を下回る数字でしたが、残された授業や部活の資料などから、「(一人暮らしの)自宅でも相当量の残業をこなしていた」と判断したとのことです。

2014年11月11日の当ブログ「持ち帰り残業で労災認定」でご紹介した事件も、所謂「持ち帰り残業」が認められ、うつ病による自殺は労災であると認定された事件でした。
いずれの事件も、亡くなられた2名は一人暮らしをしていました。「持ち帰り残業」の裏付けは同居の家族の証言が中心になると言われる中で、自宅での業務量を立証することはとても困難であると思われる「一人暮らし」の「持ち帰り残業」が認められたということは異例です。

それでは、どうして労災と認定されることになったのでしょうか

いずれの事件の場合も、「残された資料等」が大きなポイントでした。どう見ても事業場内での勤務時間では出来ないような大量の教材や資料が作成されていたことで、「持ち帰り残業」の時間を推計し、「労災」と認定するに至ったものとされています。
長時間労働をなくすため、残業を禁止する会社が増えてきていますが、業務量が減らない状態で残業を禁止しても、自宅に持ち帰って仕事をしてしまったら結局何も変わりません。
会社も労働者も、業務の効率化をもっと考え、進めていかなくてはいけないのかもしれません。

ご紹介した2件の事件を見ていますと、「成果物」が「持ち帰り残業」の証拠となるのではないかと思われます。
残業代請求をする際にも立証が難しかった「持ち帰り残業」ですが、今後は認められやすくなるのでは、と感じています。

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