個別労働紛争の相談内容は、「いじめ・嫌がらせ」が2年連続トップ!

厚生労働省平成26年5月30日に発表した「平成25年度個別労働紛争解決制度施行状況」によりますと、民事上の個別労働紛争の相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が2年連続トップで増加傾向にあることがわかりました。(今年:59,197件、前年:51,670件)
「個別労働紛争解決制度」とは、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境をめぐるトラブルの未然防止や早期解決を支援するもので、各労働局や労基署内その他駅近隣の建物内に相談コーナーを設け専門の相談員が対応する「総合労働相談」、労働局長が解決の方向を示し紛争当事者に自主的な解決を促進する「助言・指導」、紛争当事者間に労働問題の専門家(紛争調査委員)が入り紛争の解決を図る「あっせん」の3つの方法があります。
これらのいずれの方法についても、「いじめ・嫌がらせ」の件数は増加をしています。

上記に記載したとおり、「いじめ・嫌がらせ」のトラブルが増加傾向にあるためか、これらの問題の裁判の話も、よく耳にするようになりました。
今回は、最近の事件の中でもとくに金額が高い事案を2件ご紹介します。

まず1つ目は、住友生命パワハラ事件です。
これは、住友生命保険に勤務していた50代の女性がうつ病になり、退職を余儀なくされたのは上司の人格否定等の発言によるもの(パワハラ)が原因として、住友生命と元上司を相手取り約6,300万円の損害賠償を求めた裁判で、2013年12月に大阪地裁において解決金4,000万円の支払いにより和解をしたものです。
和解交渉は公開ではないため詳細の内容はわかりませんが、パワハラからうつ罹患による退職で4,000万円というのはあまりに高額の和解金です。この金額は、「逸失利益」(もしパワハラがなかったら女性が得られていたはずの利益)がかなり広範に認められたと想像されますが、今後、同様の事件に影響を与えることになると思われます。

2つ目は、メイコウアドヴァンパワハラ自殺事件です。
これは、メイコウアドヴァンス株式会社に勤務していた50代の男性が自殺をしたのは、社長らによる日常的なパワハラが原因だとして遺族が損害賠償を求めた裁判で、2014年1月15日に名古屋地裁において社長と会社に約5,400万円の支払いを命じたものです。
裁判長は、男性が社長の暴言と暴行に恐怖を感じていたと指摘し、自殺の直前1週間には、太ももを蹴られ12日間のけがをした上、退職届を書くよう強要され、「強い心理的負荷を連続して受け、自殺に至った」と判断しました。
判決によると、社長は仕事のミスをめぐって「ばかやろう」と男性を怒鳴ったほか、頭をたたくなどもしていて、男性が設備を壊した際には「7,000万円払え。払わないと辞めさせない」と発言もしていたとのことです。

本来、上司・部下といった関係はあくまでビジネスの上での契約で、これが人間的に上とか下とかいう事にはなりません。しかし、いつも命令している立場にある人はこれを忘れがちになり、人間性を否定するような言動があったり、仕事上の権限を超えて命令をしたりする場合があります。これがパワーハラスメントの原因になる事が多いようです。
しかし、パワハラは許されない行為です。
退職届の提出を強要される、人格を否定するような侮辱的な発言や叱責を受ける、など「パワハラかも?」と思う不当な行為を受けている場合、我慢をせずに会社の相談窓口や労基署などに相談してみてください。
また、パワハラにより会社を辞めざるを得なかった、行政が労災と認めてくれない、などという場合、専門家に相談されることをお勧めします。

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