40時間?44時間??残業代が変わってきます。

「時間外手当」、「残業代」というと、1日に8時間を超えて働いた場合や、深夜や休日に働いた場合に支払われるというイメージがありますが、実は、法定休日以外などに労働し、1週間に40時間を超えてしまった場合には(1日に8時間を超える部分の時間外を除きます)、その超えてしまった部分についても25%以上の割増賃金が発生しています。
 例えば、1日の所定労働時間が8時間で土日がお休みの場合ですと、月〜金曜までの勤務で1週間にちょうど40時間働くことになりますので(1日に8時間を超える部分は除きます)、土曜日に出勤をした際は土曜日の出勤時間が「時間外労働」となり、25%以上の割増賃金が支払われることになります。

ところが、この「1週間に40時間」には「特例措置」というものがあり、「特例措置」の対象事業については、「1週間に40時間」が「1週間に44時間」となります。つまり、通常ですと1週間に40時間を超えて働いた場合は、その超えた部分に割増賃金が発生するのですが、「特例措置」の対象事業の場合は、1週間に44時間を超えて働いて初めて割増賃金が発生することとなります。
それでは、どのような事業が「特例措置」の対象事業なのでしょうか。今回はこの件について記載していきます。

「特例措置」の対象事業は、「商業、映画・演劇業(映画の制作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業で、常時10人未満の労働者を使用するもの」とされています。

事業内容をもっと具体的に書きますと、次のとおりとなります。

●商業・・・卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他商業
●映画・演劇業・・・映画の映写、演劇、その他興行の事業
●保健衛生業・・・病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保険衛生業
●接客娯楽業・・・旅館、飲食店、ゴルフ場、公園、遊園地、その他の接客娯楽業

「特例措置」に該当するかどうかで重要になってくるのは、「常時10人未満の労働者を使用するもの」かどうかという点です。
原則として、 事業場の規模(人数)は、企業全体の規模をいうのではなく、支店・営業所等の個々の事業場の規模をいいます。例えば飲食店で言いますと、1店舗単位でそこの人数が「常時10人未満の労働者」であるかを見ていきます。
また、この「常時10人未満」ですが、パートやアルバイト等も含めた人数となります。

働いている事業場が40時間制なのか、44時間制なのかによって、発生する残業代の金額も変わってきます。ご自身の働いている事業場がどちらの「特例措置」に該当しているかどうか、一度就業規則等で確認をしてみてください。

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