「固定残業代」、求人の77%が違法の可能性あり!− 京都府内の調査より。

2014年6月3日の京都新聞によりますと、労働問題に取り組むNPO法人や弁護士などでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は3日、固定残業制度を導入する京都府内の企業求人のうち、8割近くが違法か違法の疑いが強いとする調査結果を発表しました。

この調査は3月13日〜26日にハローワークのインターネットサービスを使って実施したもので、京都府内に事業所がある企業の正社員募集の中から「残業手当」や「フレックスタイム」など13のキーワードで検索して出た固定残業制度を導入している180件の求人のうち、固定残業代の額が適正でない求人や何時間分の残業代かの記載の明示がない求人などを違法の基準として、77%の138件が違法か違法の疑い強いと結論づけたとしています。
プロジェクトは京都労働局に対し、企業側に残業代の金額や対応する残業時間、計算根拠の明示を徹底させるよう申し入れています。

固定残業については、こちらのブログでも取り上げたことはありますが、固定残業制が認められるためには、原則的に以下の要件が必要となります。

1.就業規則および労働条件通知書(労働契約書)において、賃金の中に時間外割増賃金が含まれていることが明確にされていること。
2.賃金に含まれる時間外割増賃金の部分が明確に区分され、示されていること。
(例えば給与明細等で、時間外割増賃金が、賃金の中で「いくら」で「何時間分の残業代」かが明確に区分され、示されていること。)
3.固定残業制によってまかなわれる残業時間数を超えて残業が行われた場合、別途残業代の精算をすること。
4.実際の残業時間が固定残業分に満たない場合でも、賃金控除が行われないこと。
(当ブログの<「固定残業代」が支払われている場合、残業代は請求できない?〜 シリーズ 固定残業 1 〜>参照。)

プロジェクトは今後、東京都でも調査を行うほか、不適切な固定残業代を判断するための学生向けインターネットツールの作成に取り組むそうです。

固定残業制は、「何時間残業をしても残業代が出ない」という制度ではありません。いわゆる「固定残業代」(「業績時間外手当」や「職務時間外手当」など)とい言われる給与の部分に、何時間分の残業代が含まれているかによって、支払われている「固定残業代」以上の残業代が発生する可能性はあります。給与明細を一度確認されることをお勧めします。
また、給与明細にその旨の記載がない場合、そもそも労働時間の管理などがされていない等の場合は、固定残業制度が違法に運用されている可能性が高いです。そのような場合、専門家に相談されることをお勧めします。

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