残業時間の計算の仕方は合っていますか?

依頼者の方のタイムカードと給与明細を見ていますと、残業時間の時間数を間違って計算しているケースが多々あります。

例えば、定時が17時までで17時20分まで働いた場合、「17時まで」と切り上げているケースは、労働基準法第24条で規定する所謂「賃金の支払の5原則」の1つである「全額払の原則」に反することになります。

賃金の計算において生じる労働時間、賃金額の端数の取扱いについて、厚労省の通達によりますと、次のようになっています。

1.遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理
5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするというような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金の全額払の原則に反し、違法である。なお、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、労基法第91条(制裁規定の制限)の制限内で行う場合には、全額払の原則には反しないものである。

2.割増賃金における端数処理
 次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務の勘弁を目的としたものと認められるから、労基法第24条(賃金の支払)及び労基法第37条(割増賃金)違反としては取り扱わない。
ア.1箇月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の光景に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
イ.1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
ウ.1箇月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、イと同様に処理すること。

3.1箇月の賃金支払額における端数処理
 次の方法は、賃金支払の便宜上の取扱いと認められるから、労基法第24条(賃金の支払)違反としては取り扱わない。なお、これらの方法をとる場合には、就業規則の定めに基づき行うよう指導されたい。
ア.1箇月単位の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。以下同じ。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと。
イ.1箇月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り返して支払うこと。

つまり、1箇月間の時間外労働時間等を合計した際の「30分単位」の端数処理なら可能ですが、1日ごと単体の時間外労働時間の端数処理は出来ないこととなっています。

皆さんの会社の残業委時間の時間数の計算方法は合っていますでしょうか。
いま一度ご確認されることをお勧めします。

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