労働者代表の方!労使協定は内容の確認を!!

「労使協定」と聞くと、「36(サブロク)協定」(時間外・休日労働に関する協定届)が頭に浮かぶ方が多いと思います。実は、「労使協定」は「36協定」以外にもたくさん存在し、その協定の締結でもって法律での規制が免れ、様々な働き方が可能となっています。

今回は、この「労使協定」について簡単に記載していきます。

そもそも「『労使協定』ってなに?」と思われている方も多いと思います。実は「労使協定」という言葉は条文上には使用されていない言葉で、労働基準法の条文においては、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定」と表現されています。つまり、「労」働者と「使」用者との間で協議して決めたことを指しているため、簡潔に「労使協定」と一般的に表現しているのだと思われます。

「労使協定」の種類はたくさんあると書きましたが、どのようなものがあるのか、主なものを次に紹介していきます。

●賃金控除に関する協定書労基法第24条)
 原則として、賃金はその全額を支払わなければならないとされていますが、法令や通達に定めがある、所得税や住民税、社会保険料、遅刻や早退・欠勤等労働しなかった分については控除することは可能です。しかし、上記記載のもの以外(例えば社宅費や寮費、組合費等)を賃金から控除するためには、この協定書が必要となります。

●計画的年次有給休暇付与に関する協定書労基法第39条、第135条)
 年次有給休暇は、原則として労働者が請求する時季に与えることとされていますが、この労使協定を締結することで、会社が労働者の取得する時季を指定することができます。ただし、計画的に付与してよい日数は、全ての日数のうち5日を超える部分とされています。つまり、10日の有給休暇が与えられている場合は5日まで、20日の有給休暇が与えられている場合は15日までとなります。

●事業場外労働に関する協定書労基法第38条)
 事業場外労働で労働時間の算定が困難なため、みなし労働時間が適用される場合に必要になる労使協定です。この労使協定の締結により、実際には何時間働いたか算定が困難な事業場外での労働時間を「○時間」と「みなし」、定めることができます。

その他にも「労使協定」は多数存在します。

「労使協定」の締結にあたり、署名をする労働者の代表者の方には気をつけていただきたいことがあります。いずれの「労使協定」も、文言が難しく内容がわかりにくくなっているとは思いますが、署名をする前には、「この『労使協定』は、何のために締結するのか。」をしっかり確認してください。また、署名の日付についても、前もって遡った日付が記載されていないか等についても、確認をしてください

締結する「労使協定」によっては、もしかしたら不本意なものがあるかもしれません。その際に、使用者の方にその「労使協定」の内容や目的を確認し、話し合って納得をし、お互いきちんと「合意」した上で締結するようにしてください。
「労使協定」の内容がどうしても納得できない場合、その旨を使用者に伝えたら不利益な扱いを受け始めた場合がありましたら、労基署等その他専門家に相談することを検討してみてください。

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