会社から休むよう指示された場合の賃金は?

2014年7月14日に、社員とパート従業員計923人に2億5,500万円の未払い賃金があったと発表をした「餃子の王将」を展開する株式会社王将フードサービスですが、昨年9月3日に「金沢片町店」(金沢市)で客が全裸になって店内で写真を撮影したため、同月10日に同店が閉店となったことはまだ記憶に新しいと思います。

突然閉店となってしまった「金沢片町店」。そこで働いていた従業員の閉店になった日の勤務はどのようになっていたのでしょうか。

実際には不明ですが、例えば、もし「金沢片町店」の従業員が閉店になった日に「閉店になったため、その日は会社を休むように!」と会社から指示があった場合、その「休日」の扱いや賃金はどうなるのでしょうか。

今回のブログでは、会社から「その日は休むように。」と指示があった場合の賃金について記載していきます。

労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定めていて、使用者の都合で労働者を休業させた場合の賃金の保障をしています。

「使用者の責に帰すべき事由」の主な具体的な事例は、次のとおりです。

○下請け工場の資材、資金難による休業
親会社からのみ資材資金の供給をうけて事業を営む下請工場において、現下の経済情勢から親会社自体が経営難のため資材資金の獲得に支障を来し、下請工場が所要の供給をうけることができずしかも他よりの獲得もできないため休業した場合その事由は法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する。(昭和23.6.11基収1998号)
○予告なしに解雇した場合の休業手当
使用者の法に対する無関心のために予告することなく労働者を解雇し、労働者は、当該解雇を有効であると思い離職後相当日数を経過し他事業場に勤務し、相当日数経過後当該事実が判明した場合、使用者の行った解雇の意思表示が解雇の予告として有効と認められ、かつ、その解雇の意思表示があったために予告期間中労働者が休業した場合には、使用者は解雇が有効に成立する日までの期間、休業手当を支払えばよい。(昭和24.7.27基収1701号)
○新規学卒採用内定者の自宅待機
新規学卒者のいわゆる採用内定については、遅くも、企業が採用内定通知を発し、学生から入社誓約書又はこれに類するものを受領した時点において、過去の慣行上、定期採用の新規学卒者の入社時期が一定の時期に固定していない場合等の例外的場合を除いて、一般には、当該企業の例年の入社時期を就労の始期とし、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとみられる場合が多いこと。したがって、そのような場合において、企業の都合によって就労の始期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとるときは、その繰り下げられた期間について、労基法第26条に定める休業手当を支給すべきと解される。(昭和63.3.14基発150号)

何が「使用者の責に帰すべき事由」に該当するのか、ということは争点になりやすいです。

例えば、大災害が発生し出勤できないなど「天災地変等の不可抗力による休業」は使用者の責任ではないので休業手当は発生しません。また、労働者が争議行為をし、使用者側がこれに対抗するため作業所閉鎖(ロックアウト)を行い休業に至った場合、これが社会通念上正当と判断される限りは、「使用者の責に帰すべき事由」には該当せず、休業手当の支払いはありません。

今回のように、例えばお店が急遽閉店をし、会社から「今日は休むように!」と指示があった場合は、「使用者の責に帰すべき事由」に該当する可能性があるため、会社としては休業手当を支払わなければならないかもしれません。もちろん、労働者がその日を有給にすることを希望した場合は,有給扱いにしても問題はありません。

「休業」が自分からのものなのか、会社からの指示によるものなのかによって、発生する賃金が変わってくることもあります。
もし会社からの指示で休んだにもかかわらずその日は無給だった場合は、一度会社に確かめてみても良いかもしれません。
(インフルエンザなどの病気の場合はまた扱いが変わってきますので、ご注意ください。)

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