原告・被告の双方が控訴! 〜 シリーズ 東芝うつ病事件3 第二審(高裁)の判決 〜

前回からお伝えしている「東芝うつ病事件」ですが、今回は第二審(高裁)の判決について書いていきます。

<事件の概要>
ある女性労働者が、過重な業務が原因でうつ病となり休職したにもかかわらず、休職期間満了を理由に解雇されたのは不当として、勤務先の会社を解雇無効や安全配慮義務違反で訴えた事件です。
第一審判決は、解雇無効と安全配慮義務違反(一部)、欠勤期間中の賃金等(一部)を認めました。これを不服とする会社側は控訴し、また、女性も敗訴部分につき控訴しました。

<争点>
第二審の争点は、第一審と同様の次の「1」から「3」に、「4」も追加されました。
1.解雇の有効性
2.安全配慮義務違反の有無
3.女性に支払われるべき賃金および損害賠償の額
4.見舞金、賞与相当額の等の支払請求の可否と額

<判断のポイント>
争点の「1」と「2」については、第一審と同様の判断となりました。

3.女性に支払われるべき賃金および損害賠償の額
第一審と同様に、本件解雇後も女性の賃金請求権は失われないとしましたが、健康保険組合から支給された傷病手当金等を控除することを否定しました。
ただし、月額は「(年収−賞与−残業代)÷12」としました。
また、会社の安全配慮義務違反については、女性が神経科への通院を会社に申告していなかったことには女性に過失があるなどして、損害賠償額を減額しました。

4.見舞金、賞与相当額の等の支払請求の可否と額
  賞与については受給資格者にあたらないため支給しないが、見舞金については見舞金規定に従い支払うこととしました。

高裁の判決では、損害賠償額が地裁の判決より減額されるということになりました。
自身のメンタルヘルスに関する情報を会社に申告しないことは、過失にあたるのでしょうか。その是非が最高裁で争われました。判決の内容は、「安全配慮義務違反!? 〜 シリーズ 東芝うつ病事件1 最高裁判決!〜」に記載しています。

長時間労働で体調を崩した方、体調不良が原因で解雇になった方、一度専門家に相談してみてください。

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