「残業が1ヶ月100時間超え」で「特定受給資格者」に!

2014年4月1日より、雇用保険の失業等給付(基本手当)の受給対象者である「特定受給資格者」の判断基準が改正され、対象者の範囲が広がりました。

「特定受給資格者」とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方々で、いわゆる「自己都合退職」で離職した「一般の受給資格者」と比べ、基本手当を受給する日数が手厚くなる等の措置があります。

4月1日からは、この「特定受給資格者」の判断基準が次のように改正されました。
(今回の改正で追加された部分は太文字にしています。)

1.賃金の支払いの遅延によるもの 
賃金(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2ヶ月以上となったこと、または離職の直前6ヶ月の間のいずれかに3ヶ月あったこと等により離職した者。
【持参資料】労働契約書、就業規則、賃金規定、給与明細書、口座振込日が分かる預金通帳など

2.長時間労働によるもの
 離職の直前6ヶ月間のうちに①いずれか連続する3ヶ月で45時間②いずれか1ヶ月で100時間、または③いずれか連続する2ヶ月以上の期間の時間外労働を平均して1ヶ月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。
 事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者。
【持参資料】タイムカード、賃金台帳、給与明細書など

今回の改正における具体例をあげますと、例えば、1ヶ月に100時間以上残業をしていた方が離職をした際、今まででしたら「自己都合退職」の扱いのために7日間の待期期間満了後にさらに3ヶ月の給付制限期間を経た後に基本手当の受給が可能でしたが、4月1日以降は「特定受給資格者」と判断された場合は7日間の待期期間満了後は3ヶ月の給付制限期間を経ることなく基本手当を受給できる可能性が高くなったということです。

長時間労働に苦しんでいる方々にとっては、いくぶん心が軽くなる改正事項の1つかもしれません。

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