給与の内訳が変更されたら要注意!〜 シリーズ 固定残業 3 〜

給与の「総額」に変更がなくても、給与の「内訳」を変更された場合は注意をしてください。
その変更は、「不利益変更」である可能性が高いです。

では、なにが「不利益」になるのでしょうか。
給与の内訳を変更されることで「基本給」が減額された場合、「残業代の基礎となる賃金」が少なくなり、残業をした際の1時間あたりの単価が低くなる可能性があります。

例えば、月額25万円の人が、「基本給25万円」(①)から「基本給20万円、職務時間外手当5万円」(②)と、内訳を変更されたとします。
①の場合、例えば1ヶ月173時間の所定労働時間の会社ですと、1時間あたりの単価は、
「25万円 ÷ 173時間 ≒ 1,445円」となり、残業時間の単価は約1,806円になります
②の場合、職務時間外手当は「残業代の基礎となる賃金」には含まれないため、「20万円
÷173時間 ≒ 1,156円」となり、残業時間の単価は約1,445円になります

さらに、②の「職務時間外手当」が固定残業代の場合は、5万円分の残業代、つまり「5万円 ÷ 1,445円 ≒ 34時間30分」の残業代が含まれていることになります。

ところが、①で34時間30分残業をしたとすると、「1,806円 × 34時間30分 =62,307円」が残業代として発生することになります。

「総額は変わらないから。」と給与内訳の変更に合意をしてしまうと、とても損をすることになってしまうので、ご注意ください。
なお、給与の内訳の変更は、労働者の合意なくてはできないことですので、知らない内に変更されている、ということがありましたら、是非相談を検討してみてください。

なにが「残業代の基礎となる賃金」になるかは、次回お伝えする予定です。

当事務所には、残業代請求や未払い賃金等の会社とのトラブルについて、精通している弁護士がおります。
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