「営業手当」は「固定残業代」?〜 シリーズ 固定残業 2 〜

前回の「シリーズ 固定残業 1 <「固定残業代」が支払われている場合、残業代は請求できない?>」で、固定残業制を認められるための原則的な要件を記載しましたが、固定残業代の「名称」で、固定残業制そのものが認められなかった事例もあります。(アクティリンク事件 東京地裁 平成24年 8月28日)
こちらのアクティリンク事件は、時間外労働賃金(固定残業代)が「時間外手当」という名目ではなく、他の手当の名目(例えば、「営業手当」や「業務手当」などの名称)で固定残業代の支払いが許されるためには、次の2つの要件が必要であるとされました。

1.実質的に見て、その手当が時間外手当の対価としての性質を有していること。
2.支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示され、固定残業代によってまかなわれる残業時間数を超えて残業が行われた場合には、別途清算する旨の合意が存在するか、そうした取扱いが確立していること。

つまり、「1」については、「運用上において営業上の諸経費を含む趣旨となっていたこと」と「他の業務職においても同じく時間外労働が行われていたが、これには営業手当の支給がなかったこと」が理由で「時間外手当の対価ではない」とされました。

実態は「固定残業代」であっても、名称によってはそれが認められるかどうかはわかりません。

当事務所には、残業代請求や未払い賃金等の会社とのトラブルについて、精通している弁護士がおります。
是非、経験豊富な日比谷ステーション法律事務所へご相談ください。