「固定残業代」が支払われている場合、残業代は請求できない?〜 シリーズ 固定残業 1 〜

「うちの会社は固定残業制で、残業代は毎月の賃金に含まれているから・・・。」と残業代の請求を諦めている方は多いのではないでしょうか。
諦めるのは、まだ早いです!!
そもそも固定残業制とは、毎月の賃金の中で一定の時間外割増賃金を固定的に支給するという制度です。しかし、固定残業制が認められるためには、原則的に以下の要件が必要となります。

1.就業規則および労働条件通知書(労働契約書)において、賃金の中に時間外割増賃金が含まれていることが明確にされていること。
2.賃金に含まれる時間外割増賃金の部分が明確に区分され、示されていること。
(例えば給与明細等で、時間外割増賃金が、賃金の中で「いくら」で「何時間分の残業代」かが明確に区分され、示されていること。)
3.固定残業制によってまかなわれる残業時間数を超えて残業が行われた場合、別途残業代の精算をすること。
4.実際の残業時間が固定残業分に満たない場合でも、賃金控除が行われないこと。

特に、「3」について、超過分が実際に支払われていないという事例は多く、裁判所が会社に対し「固定残業分を超過する残業時間について、超過時間に相当する残業代と付加金の支払いを命じる」とした裁判もありました(ワークフロンティア事件 東京地裁 平成24年9月4日)。
こちらのワークフロンティア事件については、固定残業制そのものを無効とするまでには至りませんでしたが、固定残業制そのものを無効とする判例も出ています。
その内容については、「シリーズ 固定残業 2」で詳しくお伝えする予定です。

当事務所では、依頼者の方が勤務されている会社や勤務状況をヒアリングした上で、未払い賃金や残業代の計算をしております。
是非、経験豊富な日比谷ステーション法律事務所へご相談ください。