うつ病自殺、就労前発症でも労災認定!

2014年9月17日の時事ドットコムの記事によりますと、外食チェーンを展開する「東和フードサービス」の新入社員だった女性の自殺は過労によるうつ病が原因として、母親が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日に労災と認めた、としています。

判決によりますと、女性は2006年8月に喫茶店の店舗責任者となりました。その後、アルバイトが相次いで辞めるなどしたため、対応に苦慮し、12月に自殺したとのことです。
女性は就労前にうつ病と診断されて投薬治療を続けていたため、裁判では、自殺が過労によるものかどうかが争点になりました。裁判長は「就職時には安定した状態で通常の勤務を行っていた」とし、「就職した直後に経験のない店舗の責任者に任されたことで、強い心理的な負担を受けて、精神状態が悪化したといえる」などと判断したとしています。
弁護団によりますと、就労前に精神障害を患っていた人が自殺したケースで、裁判所が労災と認めたのは初めてみられるということで、精神疾患を発症していた場合の労災認定の範囲を広げる画期的な判決としています。

厚生労働省は、就労前から精神疾患がある場合でも労災が認められるケースについて、「特別な出来事」があることを条件としています。厚労省の示す「特別な出来事」「生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした」「発症直前の1か月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行った(休憩時間は少ないが手待時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除く)等としています。
今回の判決では、バイトの退職などを心理的負荷の強い出来事」と認定し、これらが複数重なれば「『特別な出来事』に準ずる」としています

今までは世間一般では、働く前にうつ病になっていたら自殺しても自己責任だという考えが少なからずあったように感じられました。今回の判決ではその考えが否定されました。
今後は、就労前にうつ病になっていても、業務上の事由が原因でうつ病が悪化した場合は労災が認められる可能性が高くなったのではないかと考えられます。
もし業務上の事由が原因でご自身のうつ病が悪化しているのに、就労前のうつ病を理由に労災を諦めている方がいらしたら、一度専門家に相談されることをお勧めします。

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