「今後の労働時間法制等の在り方について」のポイント

2016年4月の労働時間法制改革について、2015年2月13日(金)に建議が行われましたので、今回のブログでは、その内容を簡単にご紹介します。
建議の内容としては、大きく5つに分けられますが分量が多いため、ポイントを絞ってのご紹介とさせていただきます。

1.働き過ぎ防止のための法制度の整備等
■ 現在中小企業に猶予されている月60時間を超える時間外労働の割増率50%について、平成31年4月より適用を拡大する。
■ 時間外労働の特別条項を労使間で協定する場合の様式を定め、また、限度時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置を定めなければならない。併せて、措置の実施状況等に係る書類を作成し、3年間確実に保存しなければならない。
■ 過重労働による脳・心臓疾患等の発症を防止するため労働安全衛生法に規定されている医師による面接指導制度に関し、管理監督者を含むすべての労働者が対象として、労働時間を客観的な方法その他適切な方法により把握しなければならない。面接指導制度の運用に当たり、管理監督者について、在社時間等に基づいて要件の該当の有無を判断し、面接指導を行うものとする。
■ 年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者については、使用者が時季指定するなどにより年5日については取得させなければならない。

2.フレックスタイム制の見直し
■ フレックスタイム制について、清算期間の上限を、現行の1か月から3か月に延長する。また、清算期間が1か月を超え3か月以内の場合に限り、フレックスタイム制に係る労使協定の届出を要することとする。

3.裁量労働制の見直し
■ 企画業務裁量労働制の対象業務要件のうち、現行では「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」とされている部分について、次の新たな類型を追加する。
(1)法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務
(2)事業の運営に関する事項の実施の管理と、その実施状況の検証結果に基づく事業の運営に関する事項の企画立案調査分析を一体的に行う業務
また、裁量労働制について、始業・終業の時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを法定し、明確化する。

4.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
■ 対象業務及び年収の要件を設定した上で高度プロフェッショナル制度ホワイトカラーエグゼンプション)を導入する。その対象者については、健康確保の観点から「事業場内に所在していた時間」と「事業場外で業務に従事した場合における労働時間」との合計である「健康管理時間」を把握した上で、これに基づく健康・福祉確保措置を講じなければならない。

5.その他
■ 過半数代表者の選出について、「使用者の意向による選出」は手違違反に当たるなどの通達の内容を労働基準監督法施行規則に規定する方向で検討を続ける。

6.制度改正以外の事項
■ サービスの経済化の進展や企業間競争の激化、就業形態の多様化といった経済社会の変化の中で、労働者の最低労働条件の履行確保や労働条件の向上を図るために労働基準監督機関が所期の機能が発揮できるよう体制整備に努める。


このように見ていると、過重労働対策に重点がおかれているのがわかります。
過重労働については、労使共に強い意識をもって取り組んでいきたい問題です。

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