「『人』でありたい。」 〜 シリーズ 今日も労基法5 〜

このお仕事をしていると、色々な使用者の方や従業員の方にお会いします。
色々な方から色々なお話を聞いて総じて思うことは、「やっぱりお互いがお互いを尊重して仕事をしていきたいよなぁ。」ということです。使用者と従業員という関係でもそうですし、従業員同士でもそうです。これは仕事上の人間関係だけでなく、誰と付き合う上でも言えることだとは思いますが、仕事上の人間関係は選ぶことが出来ないからこそ、余計に意識していきたいなと思ってしまいます。

シリーズでお伝えしている「今日も労基法」ですが、労基法を突き詰めて考えていけばきりがなく、そのことをブログにつらつらと書き続けていても、読んでいてあまり面白くない内容になるのではないかと思ったので、このシリーズはとりあえず今回で最終回にします。

最終回の今回は、前回お伝えしたとおり労働基準法第1条について記載していきます。

労働基準法第1条〕
「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」

日本国憲法は、その第25条第1項において「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定して国民の生存権保障を明確にしていて、労働者も国民である以上当然にその健康で文化的な最低限度の生活を営むことを憲法により保障されています。したがって、憲法第27条第2項の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」という規定に基づく法律は、当然、憲法第25条の精神に則ったものでなければなりません。そして労働基準法は、憲法第27条第2項の「勤労条件に関する基準」を定める法律なので、その根本原則を謳った本条第1項の内容は、まさに憲法第25条第1項とその趣旨を同じくするものです。

また、本条第2項においては、本法の定める労働条件の基準が最低のものであることを述べるとともに、労使当事者がこの法律の基準を理由として労働条件を引き下げてはならないことびむしろその向上を図るべく努力することを義務づけています。

つまり、労働基準法に違反をするということは、その職場で働く従業員に「人たるに値する生活」を与えていないと言っても過言ではないかもしれません。

労基法を守ることは、当然のことです。でも、会社が労基法をきちんと守り、従業員に「人たるに値する生活」を提供するには、それなりの事業基盤が必要になります。事業基盤をしっかりさせるためには、やはりそれなりの労働力が必要です。事業主には、従業員がいるから事業が成り立っていることを胸に留めておいていただきたいですし、従業員もその職場で働けているから生活が出来、やりがいのある毎日を送れているかもしれないということを、意識していただければなと思います。

今回のシリーズで、労基法の「想い」を私なりに勝手に解釈して、そのほんの一部だけご紹介させていただきました。
労基法の条文はまだまだたくさんありますし、内容もとても奥深いです。
これからも真剣に労基法と向き合い深くまで「想い」を知り、ご依頼者の方々の相談に役立てていきたいと強く思っています。

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