「あなたの本音が知りたくて。」〜 シリーズ 今日も労基法 1 〜

先日、とある人から労働基準法の中で一番好きな条文は何条ですか。」と質問を受けました。毎日のように労基法の色々な条文を読んでいる私ですが、そのような視点で条文を見たことがなかったために、その時は回答することができませんでした。
しかし、労基法と共に人生を歩いていこうと決めた身として、「このままではダメだ。労基法に愛情を注ぎ、条文と会話出来るようにならなくては、労基法の本当の気持ちを知ることができない!」と思い、その日から改心して愛を持って労基法と向き合うことにしました。

改心してまだ間がないため、「この条文はこんな性格!」と熱く語ることはできませんが、今のところ第2条第1項がお気に入りです。

労働基準法第2条第1項〕
「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」

本条本項は、労働条件の対等決定の原則を明らかにしています。個別的労働関係においては、実際上、労働者は使用者に比べて交渉力の弱い立場に立つことが多く、そのため法による労働条件規制が必要になるのですが、そこでの基本的な理念は労使の実質的な対等の実現にあると言えます。本条本項は、こうした観点から、労働条件の決定に関する法の理念をあきらかにしたものとして位置づけられます。

本条本項には、実質的な対等を実現する手段については言及されていません。しかし、本条第2項で、「労働者及び使用者は、労働協約就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」としているとおり、労働組合による団体交渉や、いわゆる過半数代表者が労使協定の締結等に当たる制度も労働条件決定における実質的な対等を確保するものと言えると思われます。

「労働者と使用者は対等であるべきだ」というこの理念は、とても尊いものだと思います。
本来なら労働者と使用者がお互いの立場や状況を理解し尊重した上で、快適な職場環境を共につくりあげていくことが理想ですが、実際にはそうでない職場が多いように感じます。
なぜそうではない職場が多いかというと、理由はたくさんあると思いますが、「どんな労働条件が違法なのかわからない」ということは理由の大きな1つではないかと思います。

労働者の方、使用者の方、それぞれの立場の方とお話をすることがあるのですが、使用者の方も悪気があってその労働条件を提示している訳ではなく、単に「知らなかった」というだけで違法なことをしてしまっていることもあります。
労働者にとっても使用者にとっても、「知らない」ということは恐ろしいです。このブログでは、皆さんの「知らなかった」を少しでもなくしていけたらなと思っています。

最近の相談で気になるのが、「休日」があまりに少ない職場で働かれている方(労働者の方)が多いな、ということです。
1年間の労働時間というのは決まっているため、1日の労働時間によって、取らなくてはいけない年間の休日数は変わってきます(「休暇」ではなく「休日」です)。
今回はこのことについて記載しようと思ったのですが、「労基法」について書きすぎてしまったため、「休日の数え方」については次回記載しようと思います。楽しみにお待ちください。

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