「社会保険」ってなに?会社は加入しているの?〜 シリーズ 入社時の注意事項2 〜

前回から2回にわたり、会社に入社した際の注意事項をお伝えしています。
第2回目の今回は、「社会保険」についてです。

社会保険には、「広義の社会保険」と「狭義の社会保険」があります。「広義の社会保険とは、健康保険・年金保険・介護保険雇用保険労働者災害補償保険労災保険の総称で、「狭義の社会保険とは、健康保険・年金保険・介護保険の総称です。雇用保険労災保険はまとめて「労働保険」と呼びます。

今回のブログでは「狭義の社会保険」を「社会保険」と称することとします。

入社する会社が法人(株式会社など)の場合、会社は「社会保険」も「労働保険」も加入しなければいけません(「労働保険」については、労働者を雇っていなければ加入義務はありません。)
会社が「社会保険」や「労働保険」に加入していると、例えば健康保険の場合、一般的には個人で国民健康保険に加入するよりも保険料は少ないですし、雇用保険の場合、退職した後に失業保険を受給できることが多いです。

では、自分が「社会保険」と「雇用保険」に加入しているかどうかの確認は、どのようにすればできるのでしょうか。
健康保険については、手元に健康保険証が届くのでわかりやすいです。厚生年金保険や雇用保険については、給与明細で保険料を控除されていれば一般的には加入していると思ってよいと思われます。
社会保険料は入社した次の月雇用保険は入社したその月給与から控除されます。労災保険については、労働者の保険料負担はありません。)
ただ、悪質な会社の場合、会社自体が社会保険や労働保険に未加入であっても、労働者の給与から各保険料を控除しているということもあります。また、会社が悪質でなくても、個人の各保険の資格取得届の届出を忘れてしまっていて加入されていなかった、というケースも耳にすることがあります。
給与明細以外での確認方法ですが、厚生年金の場合は、年金事務所に直接問い合わせての確認や、日本年金機構のホームページからの確認が可能です。
労働保険については、勤務先の加入状況を厚生労働省のHPから検索ができます。
また、雇用保険については、直接ハローワークに行って確認することも可能です。

このように、社会保険や労働保険の加入状況については、個人で確認することが可能となっていますので、会社が加入していなかったとしても、それによって損害が発生した場合、その損害の全てを会社に請求できるとは限りません。(山口(角兵衛寿し)事件 大阪地判 H1.8.22  京都市役所非常勤嘱託厚生年金保険事件 京都地判 H11.9.30)

社会保険や労働保険の加入は、2年間しか遡ることが出来ません。2年以上前には遡ることはできませんので、例えば雇用保険の場合、加入期間によってもらえる失業給付の金額が変わってくる可能性が高いために、自身がきちんと加入しているか、早めの確認が必要です。

また、社会保険や労働保険の加入義務については、正社員だけではありません。契約社員や短時間労働者(パートやアルバイトの方)についても、加入条件を満たせば(※)加入しなければいけません。
(※社会保険については、勤務時間が通常の労働者の約3/4以上であることが、雇用保険については、週20時間以上で31日以上の雇用の見込みがあることが条件です。)

良い職場環境で働くために、事業主も労働者も「守るべきことは守る」ことが必要です。
ご自身の働く会社がきちんと法律に則った職場環境を提供してくれているか、入社前に一度確認をしてみてください。

当事務所には、残業代請求や未払い賃金その他の会社とのトラブルについて、精通している弁護士がおります。
是非、経験豊富な日比谷ステーション法律事務所へご相談ください。