「求人内容」と条件が違う!?労働契約の締結前に、労働条件の確認を!〜 シリーズ 入社時の注意事項1 〜

3月も下旬になり、空気も春めいてきました。
4月から新しい生活を開始される方々も多いのではないでしょうか。

今回から2回にわたり、会社に入社した際の注意事項をお伝えします。
第1回目は、「労働条件」についてです。

会社で働く時に、会社と労働者との間で労働契約を締結します。その際に使用される書式としては、雇用契約労働条件通知書などがあります。
雇用契約書は、労使双方がそれぞれ署名をしてその権利義務を確認する形式であるのに対して、労働条件通知書は、労働条件の内容について会社が労働者に対して一方的に通知する形式となっています。労働契約の締結において、何を交付しなければいけないという決まりはありませんが、労働基準法上、必ず明示しなければならない労働条件の項目については決められています(絶対的明示事項)。

A. 労働契約の期間に関する事項
  いわゆる正社員は、「期間の定めのない雇用」です。
  契約社員などの場合には、雇用期間が予め定めてあります。
B. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
C. 始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制に関する事項
  労働基準法上では、労働時間を1日8時間、週40時間以内としています。
  休憩時間は、労働時間が6時間を超える場合は少なくても45分、8時間を超える場合は1時間与える必要があります。
D. 賃金の決定、計算及び支払の計算方法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
  給与の内訳に注意してください。
  例えば「固定残業代」(「職務時間外手当」・「業績時間外手当」など)がある場合、何時間分の残業代が含まれているかを確認してください。その分の残業を前提としているということになります。
E. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
F. 昇給に関する事項(※)

(※ 上記内容の内、「F. 昇給に関する事項」以外の事項については書面の交付による明示が必要です。)
上記の他に、就業規則等で定めがある場合には、必ず明示しなければならない項目もいくつかあります(相対的明示事項)。

G. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項
H. 臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金に関する事項
I.  労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
J. 安全・衛生に関する事項
K. 教育・研修等の訓練に関する事項
L. 災害補償、業務外の疾病扶助に関する事項
M. 表彰・制裁に関する事項
N. 休職に関する事項

契約で定めたことは、会社も労働者も守る義務があります。一度サインをしてしまえば、不利な内容であっても法律等で触れない限りその条件で働くことになります。
契約書はとても重要なものですので、サインをする前に内容をよく確認してください。また、サインをした後は、大切に保管をしておいてください。

また、すでに働いている方で、明示された労働条件が事実と相違している方、「あれ、こんな労働条件だったっけ?」と思っている方は、働く時に締結した契約書を再度確認してみてください。

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